
開放型のヘッドホンは、静かな部屋じゃないと本気を出せない。
オーディオテクニカのATH-AL5NCが気になっているのは、そこに関係があります。
家では同じオーディオテクニカの開放型、ATH-HL7BTを使っています。2022年11月に買ったので、もう4年近く。軽くて締め付けが弱くて、長時間つけていても他のヘッドホンよりずっとラク。音も耳のまわりにこもらず、広がって聞こえる。この気持ちよさは、かなり気に入っています。
ただ、開放型なので外の音はほぼ筒抜けなんですよね。テレビが点いた瞬間に、細かい音が潰れていく。
そこへ、同じメーカーから「開放型なのにノイズキャンセリング付き」のヘッドホンが発表されました。2026年9月18日発売、公式オンラインストアで39,600円(税込・2026年9月時点)。僕が使っているATH-HL7BTの、ちょうど倍の値段です。
結論から言うと、僕はまだ買っていません。音質が上がっているなら、めちゃくちゃ欲しい。
でも、このノイキャンが僕の部屋のどの音に効いて、どの音には効かないのか。何と引き換えなのか。そこを整理しないまま、2万円の差を払うかどうかは決められませんでした。
この記事は実機レビューではありません。ATH-HL7BTを家で使っている僕が、公式の情報を読み込んで「買う前に考えたこと」をまとめたものです。
- 開放型ヘッドホンの良さと、その良さが成立する条件
- ATH-AL5NCのノイズキャンセリングが、どんな騒音に効きそうか
- ノイズキャンセリング以外に、ATH-HL7BTと何が違うか
- 買う前に引っかかっている点(音漏れ抑制モード・重さ・公式に書かれていないこと)
- 買ったほうがいい人/ATH-HL7BTで足りる人の分かれ目
結論|ATH-AL5NC は「開放型を知っている人」ほど悩む機種
ATH-AL5NCは、開放型ヘッドホンにアクティブノイズキャンセリングを載せたワイヤレスヘッドホンです。オーディオテクニカ自身は、密閉型でも完全ワイヤレスでもない「第3の選択肢」と呼んでいます。
先に、僕の結論を置いておきます。
開放型の音を、静かじゃない時間にも使いたい人には刺さる可能性がある。ただ、ノイキャンが得意なのは低〜中音域の雑音で、テレビの声や食器の音まで消してくれるかは、聴いてみるまで分からない。そして、いちばん知りたい「音は良くなったのか」は、公式の情報からは判断できませんでした。
開放型を使ったことがない人より、すでに持っている人のほうが悩む機種だと思います。良さも弱点も知っているぶん、「ノイキャンで何が変わるのか」「今のヘッドホンで足りないのか」を具体的に考えてしまうので。僕がまさにそれです。
まず、公式のスペックだけ置いておきますね。
| 項目 | ATH-AL5NC |
| 型式 | オープンエアーダイナミック型(開放型) |
| ドライバー | φ53mm |
| ノイズキャンセリング | あり(強度をHome/Airplaneで切り替え) |
| 対応コーデック | LDAC/AAC/SBC |
| 連続再生 | 最大約75時間(ノイキャンON時は約50時間) |
| 質量 | 約240g |
| Bluetooth | 5.3 |
| マルチポイント | 2台 |
| 発売日 | 2026年9月18日 |
| 公式オンラインストア価格 | 39,600円(税込・2026年9月時点) |
- 僕はATH-AL5NCをまだ持っていません。音質・ノイズキャンセリングの効き・装着感は、この記事では書いていません
- 比べる相手は、僕が家で使っているATH-HL7BT(開放型・ノイズキャンセリングなし)です
- スペックや機能は、オーディオテクニカ公式サイトの情報(2026年9月時点)をもとにしています


見た目はATH-HL7BTにかなり似てるんですよ。ただ、カッパーというかブラウン系の差し色が入っていて、見た目だけならこっちのほうが好きかもしれません(笑)
では、そもそも開放型の弱点って何なのか。僕の部屋で起きていることから話します。
開放型のあの音には、静かな部屋が要る
弱点の話をする前に、開放型の何がそんなにいいのかを先に書いておきます。弱点は、ほぼその良さの裏返しなので。
良さは、音の広がりとクリアさ|背面から音が抜けていく作り
開放型ヘッドホンは、耳を覆うカップの外側がメッシュになっていて、音が外へ抜けていく作りです。密閉型のようにハウジングの中を閉じず、背面から音が抜ける構造なので、音が広がって聞こえる。
僕が開放型にいちばん感じている良さは、この広がりと開放感、それからクリアさです。ボーカルや細かい音の見通しがいい。
もうひとつが、つけていてラクなこと。ATH-HL7BTは約220gと軽く、締め付けも弱い。長時間つけていても、他のヘッドホンに比べて不快感が劇的に少ないんです。オーディオテクニカの公式コラムも、開放型のメリットとして「音の広がり」と「装着時の快適さ」の2つを挙げています。
つけたままでも周りの音が聞こえるのは、便利なところではあります。ただ、僕の中ではそれはおまけ。開放型のいいところは、あくまで音と着け心地のほうです。

でも、ほぼ筒抜け|まわりで音がすると、細かいところから潰れていく
音が外へ抜けていくということは、外の音も同じ道を通って入ってくるということです。
僕の家(持ち家・家族3人)で、ふだんの音量で使っていると、だいたいこうなります。
静かなファンが回っている程度なら、まぁ大丈夫。エアコンの音も、少し気になる程度で特に問題ありません。
ゲーミングPCをぶん回しているときは、話が変わります。音楽より、PCのファンの音のほうがうるさく感じる。
サーキュレーターは、弱で回っているぶんには平気です。ただ、全開にすると音楽を聴いていられません。テレビや炊事の音も同じで、ここまで来るともう無理。細かいところが潰れていきます。
つまり、あの広がりとクリアさをちゃんと味わえるのは、部屋が静かなときだけなんです。
ちなみに電車やカフェでは、ATH-HL7BTを使ったことがありません。最初から家で使うつもりで選んだ1本なので、ここに書いたのはあくまで僕の家の話です。逆向き、つまりこちらの音が外に漏れる話は、後半の「音漏れ抑制モード」のところで触れます。
オープンイヤーとは別物|あちらは「聞こえること」が主役
耳をふさがないオープンイヤー型のイヤホン(僕が使っているBose Ultra Open Earbudsのようなタイプ)は、周りの音が聞こえること自体を売りにしている製品です。同じ「開いている」でも、開放型ヘッドホンとは狙いが違います。
静かな部屋なら最高。でも、家の中はいつも静かとは限らない。そこにノイズキャンセリングを載せてきたのが、ATH-AL5NCです。
ATH-AL5NC のノイズキャンセリングは、その弱点を埋めにきた
ATH-AL5NCのノイズキャンセリングは、何を消すためのものなのか。まず公式の言い方から見ていきます。
公式の言い分|外の世界とつながりながら、不要な音だけを抑える
オーディオテクニカの製品ページは、ATH-AL5NCを「外の世界とつながりながら、不要な音だけを自然に抑えてくれる」ヘッドホンとして紹介しています。
ノイキャンの強さは「Home」と「Airplane」の2段階。騒音の少ない場所では自然に、騒がしい場所ではより強く抑える、という切り替えです。
そして、ここがいちばん大事なところ。公式はノイキャンで抑える音として「生活音や空調音、移動中の雑踏」を挙げたうえで、別の箇所では「エアコン音や走行ノイズなど低〜中音域の不要な雑音だけ」と書いています。
「どんな音も消します」とは言っていないんですよね。効く音の種類を、メーカー自身が絞っている。この一文が、この先を考えるときの物差しになります。
開放型を使っている側の読み|消すためじゃなく、守るためではないか
公式の言い方は、「外とつながる」ほうに重心があります。
でも、ATH-HL7BTを家で使ってきた僕には、少し違って見えました。
開放型のあの広がりとクリアさは、部屋が静かなときにしか味わえない。だとすると、このノイキャンは外の音を消して自分の世界にこもるためではなく、静かじゃない時間にも、開放型の音を成立させるために載っているんじゃないか。
僕は、そう読んでいます。まだ持っていないので、これが当たっているかは実機で確かめるしかありません。ただ、この読み方をすると「僕の部屋のどの音に効くのか」がそのまま買う理由になるので、次はそこを具体的に考えます。
どの騒音になら効きそうか|僕の部屋の音で考える
先に、いちばん読みにくい音から。
テレビと炊事の音です。公式が挙げている「生活音」に入りそうに見えますが、テレビから聞こえるのは人の声、炊事は食器や水の音。ノイズキャンセリングは一般に、エアコンやエンジン音のような持続的なノイズに比べると、人の声や食器がぶつかる音のような不規則な音は抑えにくい傾向があります。
公式は「生活音」がどこまでを指すのかは書いておらず、同じページで効く音を「低〜中音域の雑音」と絞っています。なので、テレビや炊事の音まで消えることは、期待しすぎないほうがよさそうです。ここは実機で確かめたいところのひとつです。
静かなファンの音は、今でも「まぁ大丈夫」なので、ノイキャンの出番ではありません。エアコンの音は公式がそのまま名前を挙げているので効く側のはずですが、僕の場合はもともと少し気になる程度。差を感じる場面は少なそうです。
効きそうなのは、ゲーミングPCのファンと、サーキュレーター。僕が使うときに鳴っていることがあるこの2つは、どちらも回り続けるファンの音です。
特にサーキュレーターは、今はテレビや炊事と同じ「もう無理」の側にいます。でも、音の種類がまったく違う。同じ「もう無理」でも、こちらはノイキャンが得意な側の音です。ただ、ここも少し分けて考えたほうがいい。
ファンの音には、2種類が混ざっています。モーターや羽根が回る「ブーン」という低めの唸りと、風が抜ける「サーッ」という音。唸りのほうは、ずっと同じ調子で鳴り続ける低〜中音域の音なので、公式の言う雑音に近い。一方の「サーッ」は高めの音を多く含んでいます。
しかも開放型は、密閉型のようにカップで耳をふさいで高い音を遮ることができません。なので、唸りは抑えられても、風の音は残る可能性があります。
サーキュレーターが全開で回っていても、ある程度は防いでくれそう。それが僕の見立てです。仕組みから考えると、「無音になる」というより「唸りが引いて、風の音が少し残る」あたりになりそうです。
まとめると、こうなります。

※ATH-AL5NCの欄は、公式の説明とノイズキャンセリングの一般的な仕組みから考えた予想です。実機では確かめていません。
性能の数値は公開されていない|公式は音で聴かせている
どのくらい静かになるのか。ここは、数字では分かりません。
ATH-AL5NCの製品ページには、「◯dB低減」のようなノイキャンの性能を示す数値が載っていないんです。代わりに、ノイキャンのオン・オフを聴き比べられる音声デモ(オフィスと機内の2パターン)が置かれています。
数字で比べたい人には物足りないところですが、気になる方は公式のデモを一度聴いてみるのがいちばん早いと思います。
確かめたいのはここ|ノイズキャンセリングを入れて、音の広がりが残るか
ノイズキャンセリングは、マイクで拾った騒音に逆向きの音をぶつけて打ち消す仕組みです。つまり、音楽とは別の音をヘッドホンが足している。
それで、あの広がりやクリアさがそのまま残るのか。ここは実際に聴くまで分かりません。
ノイキャンが開放型の音を守るために載っているなら、オンにしたときに音の広がりが残っていないと意味がない。ノイキャンについて、僕がいちばん知りたいのはここです。
では、ノイキャン以外に何が違うのか。ATH-HL7BTと並べてみると、発売が約5年離れているぶん、差がいくつも見えてきます。
ノイズキャンセリング以外にもある違い|発売は約5年離れている
ATH-HL7BTの発売は2021年11月、ATH-AL5NCは2026年9月。ほぼ5年の開きがあります。
先に書いておくと、オーディオテクニカはATH-AL5NCをATH-HL7BTの後継機とは言っていません。公式ストアでは、2機種とも扱われています(2026年9月時点)。ここから書く違いは、僕が2機種の公式スペック表を突き合わせて拾ったものです。
バッテリーが3倍以上|最大約20時間 → 約75時間
いちばん分かりやすい差は、バッテリーです。
ATH-HL7BTは最大約20時間。ATH-AL5NCは、ノイキャンをオフにして最大約75時間、オンにしても約50時間です。
急速充電も、ATH-HL7BTの「約10分で約150分」に対して、ATH-AL5NCは「15分で8時間」(ノイキャンをオンにすると約5時間)。
家で使うぶんには、ATH-HL7BTの約20時間でも充電を気にすることはあまりありません。それでも、ノイキャンを入れたうえで2倍以上もつなら、充電の回数はさらに減りそうです。
そのかわり、空っぽから満充電までの時間は約1.5時間から約3.5時間に延びています。
音楽を聴かずに、静けさだけ使える|スタンドアローンモード
ATH-AL5NCには、Bluetoothで何もつながずに、ノイキャンだけを動かせる「スタンドアローンモード」があります。
Homeモードで最大約100時間(Airplaneモードは約80時間)。スマホとつながっていないときに働くオートパワーオフも作動しないので、使っている途中で自動的に電源が切れる心配がありません。
音楽は要らないけれど、ファンの唸りだけ引いてほしい。そういう時間に、ヘッドホンを耳栓のように使えるモードです。ただ、開放型なので、物理的に音を遮る力は密閉型とは違います。実際にどこまで静かになるのかは、実機で確かめたいところです。
ATH-HL7BTにはノイキャン自体が無いので、この使い方はできません。
ファンの音を、別の音で覆う|サウンドスケープ機能
専用アプリ「Connect」から、オーディオテクニカのマイクで収録した自然音やヒーリングサウンド、マスキングノイズなどを流せる機能もあります。
マスキングノイズは、気になる音に別の音をかぶせて目立たなくする考え方です。ノイキャンで唸りを引いて、残った風の音はマスキングノイズで覆う。そんな組み合わせ方もできそうです。
そのほか|有線でもノイズキャンセリングが効く、フラットに折りたためる
細かい違いもまとめておきます。フラットに折りたためることや、置き忘れアラート、「製品を探す」あたりは、家の外に持ち出すことを想定した機能です。
- 付属のリモコン付き1.2mコードで有線接続しても、ノイキャンが使える
- ヘッドホンをフラットに折りたためる(付属のポーチに入れて持ち運べる)
- 本体のNCボタンに、低遅延モードのオン・オフなどを割り当てられる(低遅延モード自体はATH-HL7BTにもあり、こちらはアプリでの切り替え)
- 置き忘れアラートと、最後に接続が切れた場所をアプリの地図で表示する「製品を探す」
- Bluetoothのバージョンが5.0から5.3に
逆に、マルチポイント(2台同時接続)、イコライザー、LDACはATH-HL7BTにもあります。ここは差ではありません。ちなみにATH-HL7BTのLDAC対応は、発売後の2022年3月のアップデートで追加されたものです。
ここまでが、ATH-AL5NCで手に入るもの。機能の違いを見て気になった方は、ここから確認できます。
次は、そのかわりに引っかかっていることです。
そのかわり、引っかかっていること
手に入るものが多いぶん、引っかかるところもあります。
外に持ち出すなら|公式は、家の外でも使う前提で書いている
ATH-AL5NCの製品ページを読むと、家の中だけで使うヘッドホンとしては書かれていないことが分かります。
- 使うシーンとして「自宅でのくつろぎ、仕事の集中時間、移動や旅行、エンタメの没入体験まで」
- ノイキャンで抑える音に「移動中の雑踏」
- フラットに折りたためて、付属のポーチで持ち運べる。置き忘れアラートと「製品を探す」もある
- ノイキャンの音声デモは「オフィス」と「機内」の2パターン
ここは、僕が体験では書けないところです。ATH-HL7BTは家でしか使っていないので、開放型ヘッドホンを外で使ったときのことは分かりません。
外で使うつもりの人に、公式の情報から言えることは2つあります。
ひとつは、ATH-HL7BTと比べるなら、外で使う候補になるのはATH-AL5NCのほうだということ。ATH-HL7BTにはノイキャンがなく、音漏れ抑制モードも製品ページに載っていません。
もうひとつは、外で音漏れを気にするなら、音の聴こえ方が変わる前提で使うことになる、ということ。ここは次で詳しく書きます。
音漏れを抑えると、音は変わる|方向が逆の機能が2つ載っている
ATH-AL5NCには、ノイキャンとは別に「音漏れ抑制モード」があります。公式の説明は、公共の場で音漏れが気になるときに、外へ漏れやすいシャカシャカ音を抑えるモード。例として挙げているのは「散歩中に少し店内へ立ち寄る際」で、「一時的に」音漏れを低減できる、という書き方です。
気になるのは、その注記です。
公式ページには「完全に音漏れを防ぐものではありません」に続けて、「音漏れしやすい周波数帯域を抑制するため、通常時と比べて音の聴こえ方が異なります」と書かれています。つまり、音が変わることをメーカー自身が認めているんです。
こうして見ると、ATH-AL5NCには向きが逆の機能が2つ載っています。
- ノイキャン:まわりの騒音を抑えて、開放型の音を守る
- 音漏れ抑制モード:漏れやすい帯域を抑えるかわりに、音の聴こえ方が変わる
家で使っている僕の場合、ATH-HL7BTで家族と同じ部屋にいても、音漏れが気になったことはありません。なので、このモードを使う場面は少なそうです。
外で使う人にとっては、ここが悩みどころです。公式は電車やカフェ、航空機内を「静かな環境」として挙げています。そういう場所で音漏れを抑えようとすると、開放型の音はそのままではいられない。そこは知ったうえで選んだほうがいいところです。どのくらい変わるのかは、実機で聴いてみるまで分かりません。
20g重くなっている|約220g → 約240g
ATH-HL7BTは約220g、ATH-AL5NCは約240g。
ノイキャンの仕組みが増えて、再生時間も延びたうえで、増えたのは20g。公式も「一日中快適に使える約240gの軽量ボディ」とうたっています。
それでも、ATH-HL7BTの着け心地はかなり気に入っているところです。重くなったぶん、疲れやすくなっているかもしれない。これは被ってみないと分からないので、気にしている点として置いておきます。
気に入っている部分の情報が無い|イヤパッドの構造が書かれていない
着け心地の話で、もうひとつ。
ATH-HL7BTの製品ページには「快適な装着感と優れた音質特性を両立した2レイヤード・イヤパッド(PAT)」と、イヤパッドの構造が書かれています。ところがATH-AL5NCの製品ページには、イヤパッドやヘッドバンドの素材・構造についての記載が見当たりません。

同じように、ATH-HL7BTにはあってATH-AL5NCの製品ページには見当たらない記載が、ほかにもあります。
- 360 Reality Audio
- ビームフォーミングマイク技術(通話の声を拾いやすくする仕組み)
- 高品位Hi-Fi DAC&ヘッドホンアンプ
これは「ATH-AL5NCには無い」という意味ではありません。2026年9月時点の製品ページに書かれていない、というだけです。製品ページに載っていなくても、実際には入っていることは普通にあります。発売後の取扱説明書や実機で確かめるまでは、分からないところです。
そして公式は、ATH-HL7BTより「音質が上がった」とは言っていない|いちばん知りたいのはここ
最後が、僕がいちばん知りたいところです。
オーディオテクニカは、ATH-AL5NCの音について「新規設計の大口径φ53mmドライバー」「開放型の魅力である空気感と定位の良さをしっかり表現」と書いています。ただ、これはATH-AL5NC単体の説明です。
ATH-HL7BTと比べて音が良くなった、とはどこにも書いていません。そもそも、公式は2機種を比べていないんです。
スペック表の数字には違いがあります。でも、どれも「音が良くなった」の証拠にはなりません。
- 出力音圧レベル 100dB/mW → 103dB/mW:同じ入力でどれだけ大きな音が出るか、という鳴らしやすさの数字。音の良し悪しではない
- 伝送帯域:ATH-AL5NCのスペック表は「20〜40,000Hz(LDAC 96kHz時)」と「20〜20,000Hz(44.1kHz時)」の2行、ATH-HL7BTは「20〜20,000Hz」の1行です。ただ、ATH-HL7BTもLDACの96kHzに対応しています。表の書き方が違うだけで、この数字から音の差は読み取れない
- 再生周波数帯域 5〜40,000Hz → 20〜40,000Hz:下限の数字が上がっているので、低音が減ったように見えるかもしれません。ただ、人の耳に聞こえるのはおおむね20Hzあたりから。この数字だけで「低音が減った」とは言えません
記事の最初にも書きましたが、音質が上がっているなら、めちゃくちゃ欲しい。でも、それを判断できる材料は、公式の情報の中には見つかりませんでした。ノイキャンが開放型の音を守るために載っているとしても、守られる音そのものが良くなったのかは、まだ分からないままです。
得るものと、引っかかっていること。両方を並べたところで、2万円の差が何に対する差なのかを考えてみます。
2万円の差は、何に対する差なのか
ここまでの違いを、ひとつの表にまとめておきます。
| 項目 | ATH-HL7BT | ATH-AL5NC |
| 発売日 | 2021年11月12日 | 2026年9月18日 |
| 公式オンラインストア価格 | 19,800円(税込・2026年9月時点) | 39,600円(税込・2026年9月時点) |
| 型式 | 開放型 | 開放型 |
| ドライバー | φ53mm | φ53mm(新規設計) |
| ノイズキャンセリング | なし | あり(Home/Airplane) |
| 音漏れ抑制モード | ― | あり(音の聴こえ方が変わると公式が注記) |
| 連続再生 | 最大約20時間 | 最大約75時間(ノイキャンON時は約50時間) |
| 急速充電 | 約10分で約150分 | 15分で8時間(ノイキャンON時は約5時間) |
| 充電時間 | 約1.5時間 | 約3.5時間 |
| 質量 | 約220g | 約240g |
| 対応コーデック | LDAC/AAC/SBC | LDAC/AAC/SBC |
| マルチポイント | 2台 | 2台 |
| Bluetooth | 5.0 | 5.3 |
| 出力音圧レベル | 100dB/mW | 103dB/mW |
| 再生周波数帯域 | 5〜40,000Hz | 20〜40,000Hz |
| 有線接続 | 対応(2.0mコード) | 対応(リモコン付き1.2mコード・ノイキャンも使える) |
※オーディオテクニカ公式サイトの製品ページ・スペック表をもとに作成(2026年9月時点)。ATH-HL7BTのLDACは、2022年3月のアップデートで対応したもの
同じメーカーが、2本とも売っている|片方が旧型になったわけではない
2026年9月14日にオーディオテクニカの公式オンラインストアを見ると、ATH-HL7BTは19,800円(税込)で在庫ありでした。
ATH-AL5NCが出たからといって、ATH-HL7BTが入れ替わりで消えたわけではありません。「新型が出たから買い替える」という話ではなく、2本が並んでいて、どちらを選ぶかという話です。
2万円で手に入るもの、手に入らないもの
公式オンラインストア価格どうしの差は19,800円。ちょうどATH-HL7BTがもう1台買える金額です。
その差で手に入るのは、公式の情報から確かめられる範囲だとこうなります。
- ノイキャン(抑えるのは、低〜中音域の雑音)
- 3倍以上のバッテリーと、速くなった急速充電
- スタンドアローンモードやサウンドスケープ機能
- 音漏れ抑制モード(そのかわり、音の聴こえ方は変わる)
逆に、公式の情報からは確かめられないものもあります。
- ATH-HL7BTより、音が良くなったのかどうか
- ATH-HL7BTの着け心地を支えているイヤパッドの構造が、同じなのかどうか
こうして並べると、2万円の差の中心にあるのはノイキャンです。だとすると、この差に意味があるかどうかは、自分がヘッドホンを使う場所に、ノイキャンが効く音があるかどうかでほぼ決まります。
僕の場合に当てはめると、それはサーキュレーターと、ゲーミングPCのファンでした。今は「もう無理」「ファンのほうがうるさい」になっている時間に、開放型で音楽を聴けるようになるかもしれない。その分の2万円、ということになります。
反対に、もともと静かな部屋で使う人にとっては、この2万円の多くはバッテリーと機能の差になりそうです。困っているのがテレビや炊事の音だけなら、ノイキャンにそこまで期待しないほうが安全です。外でも使いたい人にとっては、ノイキャンと音漏れ抑制モードが手に入る差になります。
では結局、どんな人が買ったほうがよくて、どんな人はATH-HL7BTで足りるのか。僕自身がどうするかも含めて書きます。
買ったほうがいい人/ATH-HL7BTで足りる人/僕はどうするか
ここまでの話を、読者目線で2つに分けておきます。
- 開放型の音と着け心地が好きで、PCやサーキュレーターのようなファンの音がする場所でも使いたい人
- 開放型のヘッドホンを、外にも持ち出したい人(音漏れ抑制モードを使うと、音の聴こえ方が変わる点は承知のうえで)
- バッテリーの持ちを重視する人(ノイキャンをオンにしても最大約50時間)
- 音楽を流さずに、ノイキャンだけ使いたい時間がある人
- もともと静かな部屋で使っている人
- 困っているのが、テレビや炊事の音だけの人(ノイキャンに期待しすぎないほうがいい)
- 家で使うぶんには、約20時間のバッテリーで困っていない人
- 軽さ(約220g)をいちばん重視する人
- 開放型ヘッドホンを初めて試す人(開放型の音が自分に合うかを、半分の価格で確かめられる)
分かれ目は、やっぱり「ノイキャンが効きそうな音に困っているかどうか」です。困っていないなら、ATH-HL7BTは今でも十分に気持ちいい開放型ヘッドホンです。
僕はどうするか|欲しい。でも、まだ決めていない
僕自身は、ほぼ「買ったほうがいい人」の側にいます。
サーキュレーターを全開で回しているときは、ATH-HL7BTで音楽を聴いていられない。ゲーミングPCをぶん回しているときは、ファンの音のほうが耳につく。ノイキャンが効きそうな音に、ちょうど困っているんです。
ノイキャンだけで言えば、密閉型のMOMENTUM 4 Wirelessも持っています。ATH-AL5NCが気になっているのは、ノイキャンそのものではなく、開放型の音と着け心地のままノイキャンが使えるかもしれない、というところです。
それでも、まだ決めていません。理由はひとつで、音質が上がっているのかが分からないからです。
音が良くなっているなら、めちゃくちゃ欲しい。ただ、その答えは、いまの公式の情報からは出せませんでした。
ATH-AL5NCとATH-HL7BT、どちらも気になる方は、ここから確認できます。
最後に、この記事をこの先どうしていくかを書いて締めます。
まとめ|ノイズキャンセリングで守れそうな音と、まだ分からない音
ATH-HL7BTを4年近く使ってきて、開放型の気持ちよさも、静かな部屋じゃないとそれが崩れることも、身にしみて分かっています。
ATH-AL5NCは、その「静かじゃない時間」に手を伸ばしてきたヘッドホンです。ファンの唸りのような音には効きそう。テレビの声や食器の音には、期待しすぎないほうがいい。外で使うなら、音漏れを抑えるかわりに音の聴こえ方が変わる。公式の情報を読み込んで、ここまでは整理できました。
ただ、いちばん知りたいことだけは、どこにも書かれていませんでした。ノイキャンを入れても、あの広がりは残るのか。そもそも、音は良くなっているのか。
もし買ったら、確かめたいことははっきりしています。ノイキャンをオンにしても、あの広がりが残っているか。音はATH-HL7BTより良くなっているか。そのときは、この記事に書き足します。買わないと決めたときも、その理由をここに書くつもりです。
開放型のあの音を、静かじゃない時間にも聴けるかもしれない。そう考えると、やっぱり欲しいヘッドホンです。
よくある質問
開放型ヘッドホンの音漏れはひどいですか?
構造上、音は外に漏れやすいです。ATH-HL7BTの公式ページにも「構造上音が外に漏れやすくなっています」と書かれています。僕の家では、ふだんの音量で使っていて、家族が同じ部屋にいても気になったことはありません。ただ、静かな場所で音量を上げれば、それなりに漏れると考えておいたほうがいいです。ATH-AL5NCの音漏れ抑制モードも、公式が「完全に音漏れを防ぐものではありません」と注記しています。
開放型と密閉型では、どちらが音がいいですか?
どちらが上というより、得意なことが違います。開放型は音の広がりとクリアさ、密閉型は低音の量感と外の音を遮ることが得意です。僕は開放型のATH-HL7BTと密閉型のMOMENTUM 4 Wirelessを両方使っていて、低音にしっかり浸りたいときは密閉型を選んでいます。
ノイズキャンセリングの欠点は何ですか?
一般によく挙げられるのは、耳が詰まったような圧迫感、人の声や突発的な音には効きにくいこと、そしてバッテリーを多く使うことです。ATH-AL5NCでも、連続再生はノイキャンをオフにして最大約75時間、オンにすると約50時間と差があります。圧迫感については、公式が開放型にしたことで「密閉型アクティブノイズキャンセリングヘッドホン特有の“頭部が締め付けられる感覚”を軽減」とうたっています。
開放型なのにノイズキャンセリングって、ちゃんと効くんですか?
公式は、効く音を「エアコン音や走行ノイズなど低〜中音域の不要な雑音だけ」と絞っています。「◯dB低減」のような数値は公開されておらず、代わりにオフィスと機内の音声デモが製品ページにあります。僕はまだ実機を持っていないので、効き具合は書けません。
ATH-HL7BTとATH-AL5NC、どっちを買えばいいですか?
分かれ目は、ノイキャンが効きそうな音に困っているかどうかです。PCやサーキュレーターのようなファンの音がする場所で使いたい、外にも持ち出したい、という人はATH-AL5NCが候補になります。もともと静かな部屋で使う人や、軽さと価格を重視する人なら、ATH-HL7BTで十分気持ちよく使えます。
ノイズキャンセリングを入れると音質は落ちますか?
製品によるので、一概には言えません。ノイズキャンセリングは、マイクで拾った騒音に逆向きの音をぶつけて打ち消す仕組みなので、音楽への影響がまったくないとは言い切れません。ATH-AL5NCでノイキャンをオンにしたとき、開放型の広がりが残るのかは、僕がいちばん確かめたいところです。





コメント
初めまして
私もATH-HL7BTやMomemtum4 Wireressなどを持っています。
e☆イヤホンのレビューや製品カタログスペックを読むと、ATH-AL5NCは低音域や高音域が削られ、中音域のエネルギーが強調されたマイルドな設計となっているようですね。又、ノイズキャンセリングや音漏れ抑制との兼ね合いで帯域を制限しているため、聴感上の実質的なダイナミックレンジやメリハリが狭くなっていると予想しています。
つまり、とても残念なのですがノイキャン関連に凡そ2万円のコストを掛けたように感じます。しかもノイキャンの範囲は限定的。あくまで私の個人的な見立てです。現実には実機の比較レビューが増えて来るのを待ちます。
ただ、オーテクには開放型ワイヤレスヘッドホンの音質進化型の発売をずっと待っていましたが、とても残念でたまりません。
貴重な意見ありがとうございます。
もともとATH-HL7BTも開放型にしてはマイルドだと思っています。ATH-AL5NCには開放型の良さを押し上げてくれるような進化を期待していました。開放型の良さを残したままノイズキャンセリングができるならば唯一無二の存在なのですが…