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「Sound by Bose」
製品ページでこの表記を見たとき、正直ちょっと身構えました。
Noise Master Buds MAXは、インド発のオーディオブランドNoiseがBoseと組んで作ったオーバーイヤーヘッドホンです。ANC 40dB、最大60時間再生、LHDC 5.0対応。数字だけ並べれば、確かに強い。
でも「あのブランドが監修」って、どこまで本当なんでしょうね。名前だけ借りている例だって、世の中にはあるわけで。

提供いただいたのが8月7日。その日の夜から毎日使っています。原稿を書きながら、家事をしながら、ゲームで、通話で、ただゆっくりしているときも。
そして今回いちばん時間をかけたのが、ここです。
2年使い続けているゼンハイザー MOMENTUM 4 Wirelessと、条件を揃えて聴き比べました。
同じスマホに繋いで、同じ曲を鳴らして、両方ともコーデックをAACに揃えて。ゼンハイザー側は、この比較のために設定を初期状態に戻したうえ、接続のコーデックまで揃えています。
結論から言うと、2年使ってきたゼンハイザーと、いい勝負でした。
もちろん全部で勝っていたわけではなくて、はっきり差が出た部分もあります。そこも含めて書きます。
- 同じスマホ・同じコーデック・同じ曲で聴き比べた、音の違い
- 「Sound by Bose」が名前だけではないと分かった理由
- 装着感はいいのに、2時間で耳が痛くなってきた話
- 日本で多く使われている機種では「LHDC 5.0」が使えないこと
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結論|繊細さでは負けた。勝った部分も、同じ数だけあった
先に、音と装着感について分かったことを並べます。
| 聴き比べた項目 | 良かったと感じた方 |
| 低音の力強さ | Noise Master Buds MAX |
| 音場の広さ | Noise Master Buds MAX |
| 音の繊細さ | MOMENTUM 4 Wireless |
| 音の分離 | MOMENTUM 4 Wireless |
| 装着感(軽さ・締め付け) | Noise Master Buds MAX |
| 2時間を超える連続使用 | MOMENTUM 4 Wireless |
音と装着感に絞ると、3勝3敗。きれいに白黒はつきませんでした。
ただ、この表を作りながら思ったことがあって。
僕はゼンハイザーを何本も買ってきた人間で、Boseの製品も長く使ってきました。その耳で聴き比べていたら、途中で妙な既視感が来たんですよ。
この2台の音の差、どこかで聴いたことがある差だな、と。
その正体に気づいた瞬間が、この記事でいちばん書きたかったところです。詳しくは音のセクションで書きます。

この表だけ見ると「ゼンハイザーの方でいいのでは」ってなりますよね。ただこの2台、僕が買ったときの価格を思うと、そもそも同じ土俵じゃないんですよ。そこを踏まえると見え方が変わるので、そこは後半で書きます。
もうひとつ、先に言っておきたいことがあります。
この製品、家電量販店にほとんど並んでいません。国内の取り扱いが限られていて、店頭で試聴してから決める、というのがやりにくい。
だから聴いた人間が書く言葉に、いつもより重みがあると思っています。褒めるところも、そうじゃないところも、できるだけ具体的に書きます。
まずは製品そのものから。
Noise Master Buds MAXとは|スペックと、日本での買い方
基本スペック|40mmドライバー・ANC 40dB・最大60時間
数字を先に並べておきます。
| 項目 | 内容 |
| ドライバー | 40mm カスタムダイナミックドライバー |
| 再生周波数帯域 | 20Hz〜20,000Hz |
| 重量 | 262g |
| ノイズキャンセリング | Adaptive ANC 最大40dB |
| コーデック | LHDC 5.0(公式表記)/実機ではAACで接続 |
| 連続再生 | 最大60時間(ANCオン時は48時間)※いずれも音量50%時 |
| 急速充電 | 10分の充電で約10時間再生(ANCオフ時) |
| 通話マイク | 5マイクENC |
| Bluetooth | 5.4/マルチポイント対応 |
| その他 | 空間オーディオ(ヘッドトラッキングなし)・装着検出・専用アプリ |
| カラー | Titanium / Silver / Onyx |
この価格帯のヘッドホンとしては、機能が多いです。装着検出も空間オーディオもマルチポイントもある。この価格帯だと省かれることがある機能まで、ひととおり入っていました。
僕が使っているのはOnyx。黒です。


スペック表で唯一「おっ」と思ったのが急速充電ですね。10分挿して10時間(ANCオフのとき)って、朝の支度中に挿しておけば1日終わるじゃないですか。ちなみに僕はまだこの機能の出番が来ていません。理由は後半で。
買える場所|家電量販店に、ほとんど並んでいない
ここが少し特殊です。
この製品、日本ではクラウドファンディング経由で先に出荷され、店頭に並び始めたのは2026年7月17日でした。しかも取り扱いは蔦屋書店・蔦屋家電の一部店舗とそのオンラインストア、それにKibidango Store。
つまり、いつもの家電量販店をふらっと覗いて、試聴して決めるということが、やりにくい製品なんですよ。
ヘッドホンって、本当は聴いてから買いたいじゃないですか。特に3万円台となると。それができないとなると、判断材料はレビューしかなくなる。
この記事で音の話に時間を使っているのは、そこが理由です。
「Sound by Bose」とは|Boseが作った製品、ではありません
ここは誤解が生まれやすいので、はっきり書いておきます。
Noise Master Buds MAXは、Boseの製品ではありません。
インド発のオーディオブランド「Noise」の製品で、そこにBoseが音響チューニングで関わっている。それが「Sound by Bose」という表記の意味です。Boseのロゴが付いたBose製ヘッドホンを買う、という話ではない。
じゃあ「関わっている」がどの程度なのか。名前を貸しただけなのか、本当に音を作っているのか。
僕がこの記事でいちばん確かめたかったのは、そこでした。
というのも、僕はゼンハイザーのヘッドホンとイヤホンを何本も使ってきています。そしてBoseの方も、それなりに長い付き合いがあるんですよ。
ヘッドホンを持っていたことがあるし、有線イヤホンも使っていました。小さいアクティブスピーカーも。今も、Boseのイヤホンをひとつ使っています。
型番はもう覚えていないものが多いです。それくらい前から、ちょこちょこ買っている。ただ逆に言えば、両方のメーカーの音を、長い時間かけて耳に入れてきたわけです。
だとしたら、聴けば分かるはずだと思ったんです。

その答えは、思っていたより早く出ました。ただしその前に、どうやって聴き比べたかを説明させてください。ここを飛ばすと、この記事の結論は信じてもらえないと思うので。
聴き比べの条件を揃えた|同じスマホ・同じコーデック・同じ曲
なぜ条件を揃えたか|コーデックが違うと、音も違う
ワイヤレスヘッドホンの聴き比べって、実はけっこう厄介なんです。
繋ぎ方によって、音そのものが変わってしまうから。
Bluetoothは音を圧縮して飛ばしています。その圧縮のやり方が「コーデック」で、これが何種類もあるんですよ。SBC、AAC、aptX、LDAC、LHDCあたりが有名どころで、さらにその派生も含めるとけっこうな数になります。
そしてどれで繋がるかは、スマホとヘッドホンの組み合わせで勝手に決まります。
つまり、片方だけ高音質なコーデックで繋がっていたら。
その状態で「こっちの方が音がいい」と言っても、それはヘッドホンの実力じゃなくて、ただの接続条件の差なんですよね。
僕が今回いちばん気をつけたのは、そこでした。
なぜAACなのか|日本で多い機種は、ほぼ全部これになる
今回の聴き比べは、両方ともAACで繋いで行いました。
「LHDC 5.0対応なのに、なんでAAC?」と思った方もいるかもしれません。
先に結論を書くと、このAACという条件は、多くの人にとって「自分が聴くときと同じ条件」になります。
理由はこれです。
| 機種 | ハイレゾ系コーデック |
| iPhone | AACまで(LHDC非対応) |
| Xperia | LDAC(LHDC非対応) |
| Google Pixel | LDAC(LHDC非対応) |
| Galaxy | LDAC(LHDC非対応) |
LHDCというのは、LDACの対抗規格なんですよ。そしてご覧のとおり、日本でよく使われている機種は、iPhoneもAndroidもLDAC側に寄っている。XiaomiやOPPO、HuaweiあたりはLHDCに対応していますが、日本でのシェアはそこまで大きくありません。
つまり日本でこのヘッドホンを買った人の多くは、LHDCを使えないままAACで聴くことになります。
僕のスマホであるGalaxy Z Fold7も、まさにそれ。LHDCには対応していません。
だからこの聴き比べの結果は、そのまま多くの読者に当てはまります。そこは書いておきたかったところです。

スペック表の「対応」って言葉、けっこう曲者だと思ってるんですよ。ヘッドホン側が対応していても、繋ぐ相手が対応していなければ出番がないわけで。「◯◯対応のスマホと組み合わせた場合」まで書いてくれたら親切なんですけどね。
実際に確認したこと|開発者オプションで両方AACだった
「たぶんAACだろう」で済ませたら、それはただの推測です。
なのでスマホの開発者向けオプションを開いて、実際に繋がっているコーデックを確認しました。繋ぎ替えて、両方とも。

結果、どちらもAAC。
ひとつ補足しておくと、ゼンハイザーの方は専用アプリの高音質モードをオンにするとaptXで繋がります。聴き比べのときはそれがオフの状態だったので、両方ともAACに揃いました。
これで「片方だけいいコーデックで繋がっていた」という可能性は消えました。
音源も揃えています。Apple MusicとYouTube Musicの両方で、同じ曲を鳴らして聴き比べました。
比較相手|2年使ったMOMENTUM 4 Wireless
比較に使ったのは、ゼンハイザーのMOMENTUM 4 Wirelessです。
2年、ほぼ毎日使ってきた機種です。音の癖も、装着感も、どこが好きでどこが不満かも、全部体に入っている。だからこそ、差が出たときに気づけると思いました。
そしてもうひとつ。このゼンハイザーの設定を、比較のために初期状態に戻しました。
イコライザーも、音に関わる設定も、全部。使い込んだ状態のまま比べたら、それはもう「僕の好みに調整された音」との比較になってしまうので。
ここまで揃えて、ようやく聴き比べです。
そして冒頭で書いた「どこかで聴いたことがある差」に、僕はこの時点で気づくことになります。
音|聴いている途中で、気づいてしまった
第一印象|低音は力強く、ボーカルが少し前に出る
最初に鳴らしたときの感想は、シンプルでした。
低音が、力強い。
沈み込むというより、前に出てくるタイプの低音です。高音も綺麗に伸びるし、中音も濁らない。全体のバランスとしては、どこかが破綻している感じはまったくないです。
そしてボーカル。少し前に出てきます。 歌が主役になる鳴り方ですね。
全体の印象を一言でまとめるなら、ウォーム。冷たく分析的な音ではなく、聴いていて気持ちのいい方向に振られています。
パッと聴いた第一印象では、2年使ってきたゼンハイザーといい勝負でした。ここで「あれ、思ってたより全然いいぞ」となったんですよ。
音場|MOMENTUM 4 Wirelessより広い
聴き比べていて、最初にはっきり差が出たのがここです。
音場は、Noise Master Buds MAXの方が広い。
音が頭の中で鳴っている感じが薄くて、外側に広がる。ゼンハイザーと交互に着け替えると、この差はすぐ分かりました。空間の広さを感じたいなら、こちらです。
で、ここまでは「良かった点」の話なんですが。
何度か往復しているうちに、引っかかるものが出てきました。
気づいたこと|これ、ゼンハイザーとBoseの違いそのままじゃないか
この対比、知っている気がする。
ウォームで、低音に力があって、音場が広くて、ボーカルが近い方。
繊細で、分離が良くて、でも少しまとまって聴こえる方。
……これ。
ゼンハイザーとBoseの音の違い、そのままじゃないか?
言葉にした瞬間、腑に落ちました。
僕がこれまで聴いてきたBoseの音の傾向と、ゼンハイザーの音の傾向。その差の出方と、いま手元で起きている差の出方が、同じ方向を向いている。
「Sound by Bose」が名前を貸しただけなら、こうはならないはずなんですよ。ロゴだけ載せて中身が別物なら、出てくる音は「よくあるワイヤレスヘッドホンの音」になるはずで。
でも実際に出てきたのは、僕が知っているBoseの方向の音でした。

これ、狙って検証したわけじゃないんですよ。ただ交互に聴いてただけで、途中で勝手に引っかかった。だから逆に、自分でもけっこう驚きました。
つまり冒頭の疑いへの答えは、こうです。
Sound by Boseは、名前だけじゃなかった。
勝てなかった部分|繊細さと音の分離
とはいえ、全部で勝っていたわけではありません。ここははっきり書きます。
音の繊細さは、ゼンハイザーの方が上でした。
細かい音の質感、消え際のニュアンス。そういう部分の描き方が一段細かい。
そして音の分離も、ゼンハイザーの方が上です。楽器が重なったときに、それぞれがちゃんと別の位置で鳴っている感じ。
ここ、面白いところがあって。音場はNoise Master Buds MAXの方が広いのに、分離ではゼンハイザーが勝つんですよ。広い方が分離もよさそうなものですが、そうはならなかった。
解像度の差なんじゃないかと僕は思っていますが、そこは推測です。断言はできません。
ただ、ゼンハイザー側にも気になる点はあって。あちらは音が少し塊で来る感じがあるんですよね。全部がまとまって迫ってくるというか。これは欠点というより、好みの問題だと思います。
イコライザー|どう頑張っても初期設定に勝てなかった
ここは、素直に負けを認めた話です。
このヘッドホン、初期状態が「Sound by Bose」というモードになっています。そして専用アプリでイコライザーを触ると、このモードが解除されるんですよ。
じゃあ自分好みに追い込んでやろう、と思って、いろいろいじりました。
結果。
どう調整しても、初期設定に勝てませんでした。
低音を持ち上げても、高音を足しても、なんか違う。戻すと「あ、こっちだわ」となる。何度かやって、諦めました。
これ、見方によってはマイナスです。自分で音を作りたい人には、いじる余地がないということなので。
ただ僕は逆に、これで腑に落ちました。プロがチューニングした状態が、素人の手より完成している。 それを何度も体感させられたわけで。これも「Sound by Bose」が飾りじゃないことの証明だと思っています。

これ、何回も往復したんですよ。触っては戻し、触っては戻し。結局いちばん良かったのが最初の状態っていう。完敗です(笑)
音の話は、ここまでです。次はANC、装着感、そしてゲームでの遅延について。ここで、はっきり書いておきたい欠点がひとつ出てきます。
その前に、ひとつお知らせを。
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音以外で分かったこと|ANC・装着感・遅延
ANC|数字は比べられない。だから耳で比べた
このヘッドホン、ANCは最大40dBを謳っています。
ただ先に言っておくと、この数字で他社と比べることはできません。
測定方法の規格自体は、あるんです。ETSIという標準化団体が手順を定めていて、ダミーヘッドを使って測る方法などが決まっている。
ただ問題は、メーカーがその規格どおりに測った数字を出しているとは限らないし、どんな条件で測ったのかも普通は公開されていないことなんですよ。測定に使う機材の違いで結果がずれるという指摘もあります。
つまりA社の40dBとB社の40dBが、同じ条件で測られたものとは限らない。
しかも比較相手のゼンハイザーは、MOMENTUM 4 Wirelessの公式スペックにANCのdB値を載せていません。 日本の公式ページを見ても、「ハイブリッド・アダプティブANC」と方式が書いてあるだけです。
だから「40dB対いくつ」という比べ方が、そもそも成立しないわけです。
というわけで、耳で比べました。
結論から言うと、手持ちのゼンハイザーと、ほぼ同じでした。
静かになる感じも、効き方の質も、着け替えて「お、こっちの方が」となる場面がなかった。同じくらい効く。それが聴き比べた結論です。
ひとつ書き添えておくと、このヘッドホンのANCは、アプリで強さを選べます。低・中・最大、それに周囲の騒音へ自動で合わせるアダプティブの4つ。今回は「最大」に固定して比べました。アダプティブは試していません。
そしてここは留保をつけておきます。「同等」であって「トップクラス」ではありません。 ANCの強さを最優先で選ぶなら、もっと上を狙う選択肢はあると思います。この製品の魅力は、たぶんそこじゃない。
外音取り込み|自然で、かなり使える
こっちは素直に良かったです。
外音取り込みモードって、機種によっては「マイクで拾った音を無理やり流してます」という不自然さが出るじゃないですか。それがない。
かなり自然に聞こえます。着けたまま会話しても違和感が少ないので、実用として普通に使えるレベルでした。ここは想定より良かった部分です。
装着感|MOMENTUM 4 Wirelessより軽い。最初は着けていることも忘れる
はっきり書きます。装着感は、Noise Master Buds MAXの方が上でした。
まず軽い。公称262gです。そして締め付けがソフト。頭頂部のクッションもふわふわで、当たりが柔らかい。
比較相手のゼンハイザーは、僕にとってはここが弱点で。しばらく着けていると締め付けでちょっとしんどくなってくるし、重さもある。2年ほぼ毎日かぶってきた頭が言うので、少なくとも僕の場合はそうです。
その点、Noise Master Buds MAXは最初、耳に当たっていることにすら気づかないくらいでした。それくらい存在感がない。


ただこれ、僕の頭がでかいからかもしれません(笑) 締め付けが緩めに感じるかどうかって、頭のサイズでけっこう変わりますよね。締め付け強めが好きな人は、逆に物足りない可能性はあります。
なおムレについては、どっちもどっちでした。夏に長時間着ければ、どちらも普通に蒸れます。
ただし2時間|耳の上部が痛くなってくる
ここが、この記事でいちばん書いておきたい欠点です。
2時間くらい着けていると、耳の上の方が痛くなってきます。
さっき「最初は当たっていることにも気づかない」と書きました。それは本当です。ただ、時間が経つとじわじわ来る。耳の上部の先が、圧迫されている感じになってくるんですよ。
位置をずらせば直るかと思って、いろいろ動かしました。でもどう動かしても、上の方が少し当たっている。 回避策は見つかりませんでした。
イヤーカップの深さが僕の耳に合っていないんじゃないかと思っていますが、そこは推測です。

そして念のため書いておくと、ゼンハイザーの方では、この痛みは出ません。あちらは締め付けでしんどくなるタイプで、痛くなる場所が違う。
ただこれは個人差が大きいところだと思います。耳の形も頭のサイズも人それぞれなので、僕が痛かったからといって、あなたが痛くなるとは限りません。逆もまた然りです。
それでも書いておきます。長時間つけっぱなしにする前提で買おうとしている人には、知っておいてほしい話なので。
ゲーム|普通に遊ぶ分には問題ない。本気の場面は無理
これは昔の職業柄、けっこう厳しく見てしまう部分です。
音の遅れは、あります。
これ、実はコーデックの話に戻るんですよ。Bluetoothの遅延は、どのコーデックで繋がっているかでだいたい決まります。
一般に言われている目安は、こんな感じです。
| コーデック | 遅延の目安 |
| SBC | 250〜300ms |
| AAC | 150〜200ms |
| aptX Low Latency | 約32ms |
そしてNoise Master Buds MAXを繋いだとき、スマホ側で選べるコーデックはAACとSBCの2つだけでした。aptXのような低遅延を売りにしたコーデックは、そもそも選択肢に出てきません。
公式のスペック表でも、取扱説明書でも、コーデックとして名前が挙がっているのはLHDC 5.0だけです。
僕の環境はAAC接続なので、遅延はこの表の範囲ということになります。加えてこのヘッドホンには、いわゆる低遅延モード(ゲームモード)も用意されていません。
なので結論を分けて書きます。
普通にゲームを遊ぶ分には、何も問題ない程度です。 音がズレて気持ち悪い、ということはない。動画視聴も同様です。
ただし本気の場面では無理です。音で敵の位置を取るような撃ち合いには、僕は使えません。そこは有線か、専用の低遅延デバイスの領域だと思います。

昔FPSを競技でやっていたので、この辺の判断だけはやたら厳しくなっちゃうんですよね。ただ逆に言えば、「そのレベルの用途以外なら気にしなくていい」とも言えます。
バッテリー|まだ、減りきっていない
公称は最大60時間、ANCをオンにすると48時間です(いずれも音量50%時)。
8月7日の夜から13日まで、毎日使いました。原稿を書きながら、家事をしながら、ゲームで、通話で、ただゆっくりしているときも。それなりの時間、着けっぱなしにしてきました。
それで残量は60%くらい。その間、一度も充電していません。
まだ「使い切った」経験がないので、公称値どおりかどうかは判断できません。ただ、この使い方で6日間もったのは事実です。

前半のスペック表のところで「急速充電の出番がまだ来ていない」と書いたのは、この話でした。10分充電で10時間再生(ANCオフ時)という機能があるんですが、そもそも切羽詰まる場面にならない。
ここまでが、実際に使って分かったことです。次は、買う前に知っておいてほしいことをまとめます。
買う前に知ってほしいこと
いいところばかり書いても仕方ないので、引っかかる点を3つまとめます。どれも致命傷ではないんですが、知らずに買うと「あれ?」となるやつです。
LHDC 5.0|日本で多い機種のほとんどで使えない
前半で書いたとおりです。
このヘッドホンの売り文句のひとつが「LHDC 5.0対応」なんですが、iPhoneもXperiaもPixelもGalaxyも、LHDCには対応していません。 LHDCはLDACの対抗規格で、日本で使われている機種の多くはLDAC側だからです。
逆にLHDCが使えるのは、XiaomiやOPPO、Huaweiといったメーカーの機種になります。ただしこれも全機種ではないので、気になる人は自分の型番で調べてみてください。
つまりこの機能を目当てに買っても、手持ちのスマホ次第では一度も使わないまま終わる可能性があります。
ただ、ここは大事なので補足させてください。
繋がらないわけではありません。 AACで普通に繋がります。AACはiPhoneでもAndroidでも使えるので、「聴けなくて困る」ということは起きません。
そして僕がAACで聴いた音が、この記事で書いてきた音の評価そのものです。低音の力強さも、音場の広さも、Boseの気配に気づいた話も、全部AAC接続で聴いたうえでの話。だから「LHDCが使えないと残念な音になる」という話ではまったくないんですよ。
あくまで「売り文句のひとつが、多くの人にとっては無効になる」というだけです。
風切り音低減モード|見当たらなかった
外で使うと分かります。風のある場所では、風切り音がそのまま入ってきます。
最近のヘッドホンには風切り音を抑えるモードが載っているものもありますが、このヘッドホンには見当たりませんでした。
室内メインで使うなら、関係ない話です。ただ外で使うことが多い人は、知っておいた方がいいと思います。
試聴|できる場所が限られている
最後はこれです。
前半でも触れましたが、この製品は家電量販店にほとんど並んでいません。国内の取り扱いが限られているので、「ちょっと聴いてから決めよう」がやりにくい。
3万円台のヘッドホンを、聴かずに買う。それなりに勇気がいる話だと思います。
だから僕は、この記事で音の話にいちばん時間を使いました。同じ条件で比べて、勝ったところも負けたところも書いたのは、そのためです。

これ、製品の欠点というより流通の話ではあるんですけどね。ただ買う側からすると同じことなので、書いておきます。
Noise Master Buds MAXはこんな人におすすめ/向かない人
ここまで書いてきたことを、判断しやすい形に整理します。
おすすめできる人
- 家や室内で、長めに音楽を聴く人(音場の広さと低音の力強さが効きます)
- ウォームで聴きやすい音が好きな人。分析的な音より、気持ちよく鳴ってほしい人
- 軽さと締め付けの緩さを重視する人。重いヘッドホンで疲れた経験がある人
- イコライザーをいじるより、完成した音をそのまま使いたい人
- この価格帯で、機能の数を求める人(マルチポイント・装着検出・空間オーディオまで入っています)
向かないと思う人
- 細かい音の質感や、楽器の分離を最優先する人。そこはゼンハイザーの方が上でした
- 2時間以上つけっぱなしにする前提の人。僕は耳の上が痛くなりました(個人差はあります)
- 競技的にゲームをする人。遅延を詰める用途には向きません
- 屋外で長時間使う人。風切り音対策がありません
- ANCの強さを何より重視する人。手持ちのゼンハイザーと同等で、突出はしていません
こうして並べると、得意なところがはっきりしている製品だなと思います。全部入りで全部強い、というタイプではない。
ただ、それでいいと思っています。この価格帯で「全部強い」を期待する方が無理があるので。
そしてもうひとつ、はっきりさせておきたいことがあります。
ゼンハイザーと頭を並べて比べたのは、音と装着感だけです。そこが3勝3敗でした。
ANCは聴き比べて同等でしたし、遅延と風切り音にいたっては、そもそも比べていません。低遅延コーデックが選べないことも、風切り音のモードがないことも、この製品にその機能がないというだけの話で、ゼンハイザーに負けたわけではないんですよ。
だから全部をひとつの勝敗表に足して「総合ではどうだった」と言うつもりはありません。
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次は、よくある質問に答えます。
Noise Master Buds MAXのよくある質問
Sound by Boseって、Boseの製品なんですか?
いいえ、Boseの製品ではありません。インド発のオーディオブランド「Noise」の製品で、そこにBoseが音響チューニングで関わっています。
ただ、名前を貸しただけという感じではなかったです。実際に聴いてみると、僕が知っているBoseの音の方向に寄っていました。そこは記事の中盤に書いたとおりです。
iPhoneでも音質は変わりませんか?
僕はiPhoneでは試していないので、そこは先に書いておきます。
ただiPhoneはAACで繋がりますし、この記事の音の評価もAAC接続でのものです。条件としてはかなり近いはずです。売り文句のLHDC 5.0はiPhoneでは使えませんが、AACでも十分にいい音でしたし、Boseらしさもちゃんと出ていました。
メガネをかけていても痛くなりませんか?
メガネが原因の痛みは出ませんでした。ツルの部分が圧迫される感じはないです。
ただし僕の場合、メガネとは関係なく2時間くらいで耳の上部が痛くなってきます。これはメガネの有無というより、耳の形との相性だと思います。
ゲームや動画で音がズレませんか?
動画と、普通のゲームなら問題ありません。気になるレベルのズレは感じませんでした。
ただし低遅延モードは搭載されていないので、音で位置を取るような撃ち合いには向きません。そこは有線を使った方がいいと思います。
どこで買えますか?
家電量販店には並んでいません。国内では蔦屋書店・蔦屋家電の一部店舗とそのオンラインストア、それにKibidango Storeが取り扱っています。
ただ店頭に置いている店舗は限られるので、実際に聴いてから決めるのは難しいと思います。
だからこの記事で、音の話を細かく書きました。判断の材料になれば嬉しいです。
なお、この記事の読者向けに3%OFFの特典をいただいています。記事内のリンクから入ればカートで自動的に引かれますし、購入画面でクーポンコード「MENVERSE」を入力しても同じです。
まとめ|「戦えている」の中身
「Sound by Bose」の表記を見て身構えた、という話から始めました。
その答えは、狙って出したものではなくて、聴いている途中で勝手に出てきました。ゼンハイザーとBoseの音の違いが、そのまま目の前で再現されていた。名前だけじゃなかったわけです。
ただ、この記事で書きたかったのは、そこだけではなくて。
繊細さでは負けました。分離でも負けました。2時間で耳の上が痛くなるし、本気のゲームには使えないし、ANCも突出しているわけではない。弱いところは、ちゃんとあります。
それでも。
同じスマホに繋いで、同じコーデックに揃えて、同じ曲で聴き比べて。2年使ってきた相手と並べて、音と装着感では3勝3敗まで持っていった。
「コスパがいい」と言われている製品らしいんですが、その言葉の中身が、比べてみてやっと分かった気がします。価格が抑えめだから褒められているんじゃなくて、同じ土俵に乗せても勝負になるから、そう言われているんだなと。

8月7日に届いたその夜から、毎日使ってきました。作業中も、家事をしながらも、ゲームでも、通話でも。
レビューのために何度か着けて終わり、にはならなかったんですよ。
疑いながら箱を開けたヘッドホンが、気づけば手元の定位置に収まっている。書いてきた弱点を全部わかったうえで、それでもまだ使っている。
たぶんそれが、いちばん正直な評価だと思います。






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